「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」 岡崎琢磨 ネタバレ感想 評価☆1.5

すべてを読んでいませんので,その点ご注意下さい。

珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)

珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)

 

 アオヤマ:「前作と比べると,文章がまともになってきました。その謎を考えてみましょう。僕が思うに……」

美星バリスタ:「全然違うと思います。」

美星は僕をさえぎっていった。

ア:「まだ何も言っていません。」

僕はバリスタを非難した。

美:「アオヤマさんは『作者が成長した』とおっしゃりたいのでしょう。」

「んぐぁ」と喉が鳴った。

ア:「どうして分かったんですか。その通りなんですが……。」

美:「顔を見れば,それくらいわかります。」

ア:「そんな無茶苦茶な。」

僕は非難するように喚いた。

美:「そもそも『作者が成長した』というのも真実なのでしょうか。」

バリスタは,カウンターの下から何かを取り出し,猛スピードでハンドルを回し「こりこりこりこり」と音をさせると,瞬く間にその何かをカウンターの下に戻した。茶番はまっぴらだと言わんばかりの態度だった。

美:「前作の電波文章を見れば,短期間でそれほど成長するわけがありません。」

美星は一言の下に切り捨てた。

美:「それに『気体ではなく期待で膨らんだ風船の糸を口角に結びつけ、』などという表現も見られ,独りよがりな電波文章の残滓が見られます。大方,電波表現の多くを編集者にカットされたのでしょう。」

美星は非難するような視線を僕に向けた。

僕はうつむいて,ぬるくなったカフェオレを少しばかり啜った。